政治よりバロックが好き。

海外に行き、いろんな世代、職業の人たちとプチ交流するのはとても刺激的だ。信仰・宗教の類の話題については、とくに最近慎重でなければならないが、さほど突っ込みすぎず、相手が切り出してくる話題の流れから、学ぶことも多いし、出会ったことが偶然かもしれないが、ときに宝物を得たような気持ちになる言葉もある。もちろん、会話だけでなく行動を見ているだけで、その人がわかることもあり、自分に置き換えて教訓とすることも多い。
ドイツ人のタクシードライバーとの会話。今はどこへいっても危険だ・・という話から、ユーロ圏はこれからどうなるかという話、ドイツはスイスほど、物価も高くなく安定した国で、住みやすい方だ。パリなんかは物価が高すぎるので、今さら住もうという人には不可能なぐらい。そういう面でもフランクフルトはいい。それは政治がいいということかも?と思い、メルケル首相の評判は?と聞いてみると、「ああ、彼女は強い女性だ」といいつつ、そのドライバー、「私は政治には興味がないんだ」といい、「それよりも音楽、とくにバロックが好きなんだ」・・・へえ、政治と音楽が同じ土俵とはすごい、しかもそれがバロックという古典中の古典だ。
日本でももしかしたら、「政治より落語がいいね~」という人がいるかもしれない?のと同じノリ?。とにかく興味深い。「バロック」という言葉に興味を示すと、彼はたちまち人が変わったように、話し始めた。聞いていくとオーボエの音が好きなんだそうだ。そして独学でやろうとしたがうまくいかず習い始めたとか。そしてヴィバルディがいいと言う。すぐにあの四季のメロディーが浮かんだ。バロックの話をしているとき、その運転手はとても幸せそうで、楽しく話し続けた。なんでも楽器もバロック時代と、現代演奏されているクラッシックの楽器とは形も大きさも違うという点は興味深かった・・。車を降りるとき、すっかり友達になった。、とまたもやいつものパターン。人生のなかでは、よっぽど意識しないと再び会うということはない、そんな出会いもいっぱいあるが、すれ違う人に教えてもらえることはあまたあるのだ。バロックか~。いいな。さすがドイツだ。政治がどうであれ、世の中がどうであれ、深い精神性に満ちた世界を自分自身がもっていれば、それだけで幸せになれるのかもしれない。いいものは何百年経ってもいいのだ。さらにパリで出会ったドライバーからもクラシックの魅力について聞かされる。やはりバッハが大人気であることを知り、感動する。
古典的に生きることの意味を西側に来ると感じる。どんな仕事をしていても、内面がどうであるか・・で人生の意義は変わるのかもしれない。

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