蔓延する緊張と曇天

冬ということもあるが、ドイツの空は曇りっぱなしで、今にも降りそう、でも降らないという不穏な空模様だ。やはり空と人の心は関係あり、空が青く晴れると人の心も晴れ、暗雲たちこめる空の下では不安な気持ちにもなる・・・不思議なものだ。
加えて、昨今の世界の緊張状態。日本にいればまだメディア上での話題であり、空港関連の場所以外でさほど多数の警官を見ることはないが、西側の空港、駅には警官も多く、地下鉄に乗っても、地下道を歩いても、これまで以上に緊張する自分がいて、また周囲の人々も同じような感覚ではないかと思える、そんな硬い表情である。警官ですら、道を尋ねると不審な奴ではないかと観察されてしまう。カフェに行っても、デパートに行っても、劇場、見本市会場に行っても・・・すべてに危険の可能性があるかもしれないと思うと、つい肩に力も入り、持ち物も用心しぎゅっと硬く持ち、道を尋ねられたときの応対にも・・これまで気にならなった些細なことにも身構える自分がいる。
どこにいても気を抜かない、抜けない・・・そんな毎日が続くと、人々はどこにも出かけず家にいるのが一番ということになるのでは?
データがないが、昨今のテロ事件の影響で人々の行動は変わっていないだろうか?定量的にはわからないが、私は人々の様子と流れる空気からその変化を感じている。
もちろん気を抜いて、へらへらしている平和ボケはよくないが、人が人を信用しない世の中、この緊張状態は決して良いことではないと思える。生きていく上で、緊張は時々するのがいい。ここぞというときに肩に力を入れるのも良い。適度なストレスは行動のエネルギーにもなるが、これがずっと続くと人々は疲弊し、コミュニケーションにも変化が起きてくる。そうでなくても、人々は下を向き、コミュニケーションをするようになっているというのに・・。
早く、人間社会に晴天の日が来てほしい。

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