ワンハンドピアニストへの敬意

ピアニストは、手を指を酷使する。私は高校生までしか、その経験がないが、1日数時間も練習をする。使いすぎ故の支障も出てくることも人によってはある。
 以前、腱鞘炎になったのはピアノのせいではないのは明らかであるが、それになったことで、ピアノがしばらく弾けなかった。どうしようかと思った。
でも、今はおかげさまで、痛みも消え、演奏に支障はない。下手でも弾けるという幸せがある。
 と、こんな中途半端な私でも、手の故障はたまらないが、ピアノ一筋でがんばっておられる演奏家にとって、手がいうことをきかなくなる、動かなくなることは、お先まっくらな状態になることだと思う。
自分だったら・・と思うと、想像するだけでも・・・である。

最近、左手だけで頑張って演奏するピアニストたちの活動を知った。左手だけのピアノコンクールもあるようだ。
かつて、両手でばりばり演奏していた人たちが、あるアクシデント、病気により
片手が使えなくなり、その苦難を乗り越え、左手だけで立派に演奏している姿を映像ではあったが、その演奏を見て、釘付けになった。
その左手は右手の分も含め、見事に重厚なハーモニーを作り出す。左は伴奏の手と言われているが、旋律も弾きつつ伴奏も弾く。片手で全部を取り仕切る。
だから、両手で弾くより難しいはずだ。そして両手故の遊び、ごまかしは許されないため、ピアニストがいかに左手に集中しているかが伝わってきた。

両手で華やかに鍵盤を舞う演奏とはちょっと違い、左手一本で勝負するその音色はあまりに深く、慎重で・・・。
この音にどんな思いがこもっているのだろうと思うと、一音一音から耳が、目が離せなくなった。

ワンハンドピアニスト。もし、そうなった場合でも演奏できるように、今から左手をしっかり訓練しておかねば。
いろんな障害を乗り越えて、自分の夢に向かう人は、本当に美しい。心からの敬意を表したい。



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