港町、カウンター席の出会い。

いわゆるスナックやバーなどの酒場。こちらはカウンター席がメイン。とくにひとりで飲みにやってくるお客にはカウンターは都合が良い。そのお客同士が、ママやバーテンダーを介して、それとなく会話がはじまり、なんとなく顔見知りになったりする。よっぽどのときは、それ以上の仲になることもあるが、基本的には束の間のふれあい。お互いが常連であれば、何度も顔を合わせる、おなじみさんになることもあるだろう。

では、レストランではどうだろうか?しかも昼間・・。
たまたま横浜での時間が空いたので、応援しているレストランのひとつに久しぶりに顔を出す。早めのランチ、混みあう時間までには退散しようと・・。
カウンター席を案内され、わがままをいって、端っこの席にしてもらう。
このレストラン、料理もサービスもちろん良いが、眺めが最高だ。(下写真)この景色がご馳走メニューでもある。平日で、すいていて、客層がいつもと違ってちょっといろんな意味でアッパークラス。
カウンターに座り、せっかくのいい景色を眼の前に、でもスマホを手元でいじり仕事の処理をしながら・・食事をとっていると、隣にマダムがひとりお座りになった。そして、メニューを見ないで、私がオーダーした料理を指さし、「それ?なあに?」と私に聞いてこられた。私は何と言っていいかわからなく、そのマダムの前に置かれてたメニューを借りて開いて「この、ランチセットですよ」とお伝えすると、「じゃ、わたしもそれにする」といってオーダー。それから、しばらくもちろん知らない人であるし、お互いがそれぞれの食事タイムを過ごしていた。こちらはもうおなかがいっぱいで、どうしようかと思っていたところ、スタッフがデザートとコーヒーも運んできてくれた。
隣のマダムがそれとなく見ておられたようで、
「このお料理、とっても美味しいけれど、すごいボリュームよね」とお互いに、お腹いっぱいといいつつ、自然に会話をしはじめた。
お話しをお聞きすると、このお店にはここんところ、毎週金曜、ランチタイムの早め時間に来られ、このカウンターの端を希望され、習いごとに行く前の腹ごなしをされていくそうだ。でも、おいしくてお腹いっぱいで、教室に行ったら眠くなる・・でも、毎週楽しみで・・・。
20分ほども会話しただろうか。まるで、スナックかバーのお隣さん同士のようだ。最後は、ちょっとしたきっかけで、次にもしかしたら出会えるかも?という話題で連絡先をお伝えし、お別れする。
そのマダムは、この遭遇をとても喜ばれ、「私ってついているの」と言ってくださった。
店のスタッフからはレジで、「お隣のお客さんとお知り合いかと思いました」と言われ、「いや、ここでさっき会っただけ。料理がいいと話が弾むわ」といって笑った。

昼のレストラン、カウンターからも、こんな会話がはじまる。
なんだか、スナックやバーでの出会いはおじさんが多かったが、マダムと遭遇する昼のカウンターも悪くないなと思った。
このマダムとは、きっとまたどこかでお会いできるような気がする。

元ダンスの先生、ウサギ年、一回り上、娘さんたちは自立してがんばっておられる・・習い事は朗読・・・。短い時間にいろいろお聞きし、横浜という場所のなせるわざなのか、人との出会いは、本当に面白いもんだと、大満足のランチタイムを過ごし、東京へ出陣した。港町は人々の心を開放してくれるのかもしれない。

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