おすそ分けの観覧車?

ありがたいことに、いろんなものが届く。
「地元の旬の味をお届けします」とそこでしかとれないフルーツを、
「おやじが作ったので、食べてください」と大根を・・・。
本当にありがたくて、ずっと手元において、少しづつじっくりいただきたいのだけれど、そうするには量も多くて、家においておくと、腐ってしまう、これでは送ってくださった方にも申し訳ない。

 そんなことで、おすそ分けとなる。
あるときは、家族に少し持っていこうとする途中に寄ったクリーニング屋さん。
そこのおばちゃん同士の会話になる。
「お元気でした?」(顔を見たのが、久しぶりだったので)
「私は元気だったんですけど、旦那が手術して・・・・」
という話になり、聞いているうちに、袋に入れていたひとつの果実をつかんでいた。
「あの、これ、新潟から送ってきてくれた、ル・レクチェという洋ナシなんですけど、お見舞いにひとつどうぞ。旦那さんと召し上がってください」
といって、その黄色い洋ナシを手渡すと、彼女が目をまんまるにして
「えー、もらっていいんですかあ?」
その喜びようといったら、なかった。そして、その後お店に行くたびに、その珍しい洋ナシを食べるまで、食べたとき、食べたあとの楽しいエピソードを幸せそうに話してくれた。妹にあげる分がひとつ減ったけれど、あれだけ喜ばれたら言うことはない。
さらに、そのル・レクチェは、初めてお会いする方の面談時にひとつ持参。
その日の夕食後に、家族で召し上がっていただけたそうで、喜んでいただけた。
 さらに、大量に送っていただいた大根は、よく荷物を届けてくださる宅配会社の女性のスタッフに。
「ピンポーン」のベルが鳴り、ドアを開けると彼女はいつも大きな荷物を抱えてきてくれる。重くて悪いなといつも思っていた。
「おはようございます。お荷物です。サインくださーい。」
荷物を受け取りながら、サインをしながら、
「あのー、唐突なんですけど、大根食べます?」
宅配会社の女性は驚いた顔で、
「はい!」
「じゃあ、これ一本もっていってください。まさに昨日、送ってきてもらったんですけど、たくさんきて、うちだけじゃもったいないので。京都の大根です」
と言って、新聞紙に巻き付けた大根1本を差し出す。
「わあ。いいんですか?いっただきまーす!」
彼女は私に荷物を届けて、身軽になったはずが、1本の大根を抱きかかえ、足早に去っていった。

 そんなこんなで、楽しいおすそ分けストーリー。
生のモノだから、そうなることが多いが、なんだかとても楽しい。
いただいたものは、送っていただいた方、作られた方の思いを大切にし、
感謝の気持ちをもって、ぐるぐるっと回したい。
おすそ分けは、おいしさの、笑顔の観覧車なのかもしれない。

大根を送ってくれた京都の農家さんに、次会って、そんなエピソードを伝える
のが楽しみだ。








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