共生は難しい。

エアコンも要らないほど涼しい日。玄関のドアを少し開き、室内全体の通気を良くする。
ああ、秋だなあと快適な気持ちでパソコンに向かい、仕事も捗る。
そこへ侵入者。
黒い物体が飛んで入ってきたのだ。
実はこういった外来者は大の苦手。
地を這う物体もそうであるが、飛ぶとなればそれ以上に大迷惑だ。
そこから黒い虫と格闘の時間が始まる。5センチぐらいあろうか。大きい、怖い。

マンションの通路の灯りを見て入ってしまったのかもしれない。
夕暮れも近づき、室内の電気を全て消して、外の明るい方に飛んでいってくれないか
と、虫にお願いしながら電気のスイッチもオンオフ、オンオフ。
ハッカの匂いで逃げてはくれぬかと、スプレーをシュッ、シュッ。
よく見るとハチの一種のようだ、刺されては大変だ。

もう仕事どころではない。
そのうちムサシ(ハチなのでそう命名)は電燈に近づき、視界から消えた。

へ?。電気の中にもぐって死んだの。それも困るなあ。
でも電気にぶつかる音がしないから・・・。

その間に、ネットで検索するといろんな体験談や、問答が出てきて、本当に
世の人々は何でもネットに書き込むんだなとそれも感心。でもあまり
役には立たず、、、。どうしよう。もう格闘開始から一時間以上が経過。

もう気にせず仕事しようと思ったら、頭上でふたたびムサシの動き出す音。
また飛び始めた、ああ、もう!
私は必死に再び、家中の電気をオンオフ、オンオフして、奴の進行方向を
光でおびき寄せた。
ムサシはだんだん玄関の方に向かった。よしよし、そのまま迷わずいってくれ、
とハチに慎重に見守る。
するとドアから外に出た。

やった!すぐにドアを閉め、大きくため息。
お互いに良かった、よかった。

ハチもとんだところへ舞い込み邪魔にされ、困っただろう。
こちらも本当に困った。

人と昆虫の住む世界が違う。
わからないから怖い、困る。
共生は難しい。
コミュニケーションできない相手は難しい。
実は、人間とのコミュニケーションはなんとかなるものだと
実感。

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